派遣社員が退職代行を使うときに最も混乱しやすいのが、「派遣先と派遣元のどちらへ連絡するのか」という点です。普段働いている職場は派遣先ですが、雇用契約を結んでいる相手は基本的に派遣元会社です。そのため、正社員やアルバイトとは少し違う確認が必要です。この記事では、派遣元・派遣先の役割、退職連絡、貸与品、有期契約、必要書類まで詳しく説明します。
派遣社員の雇用主は派遣元会社
厚生労働省は、労働者派遣を「派遣元事業主が自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて働かせる仕組み」と説明しています。つまり、日々仕事の指示を受けるのは派遣先でも、雇用契約の相手は派遣元です。
そのため、退職意思を伝える中心的な相手は派遣元会社になります。申込み時には、派遣先の店舗・会社名だけでなく、給与明細や雇用契約書に記載されている派遣元会社の正式名称、担当営業、電話番号を確認してください。
派遣先には誰が連絡する?
派遣元へ退職意思を伝えた後、派遣先への欠勤・就業終了連絡をどのようにするかは、派遣元との間で確認します。本人が派遣先の上司へ直接電話することを望んでいない場合は、その希望を派遣元へ伝えます。
派遣先から本人へ直接電話が来る場合もあります。派遣元・派遣先の双方から連絡が来る可能性があるため、どちらからの連絡なのか分かるよう着信履歴やメッセージを残しておくと確認しやすくなります。
派遣契約と本人の雇用契約は別
「派遣先との契約が○月末までだから、それまで絶対に辞められない」と言われることがあります。しかし、派遣元と派遣先の間の労働者派遣契約と、派遣社員本人と派遣元の間の雇用契約は別の契約です。
本人の退職については、本人と派遣元との雇用契約の内容を確認します。派遣契約の都合だけを聞いて結論を出すのではなく、本人が無期雇用なのか有期雇用なのか、契約満了日はいつかを整理します。
有期雇用の派遣社員は契約満了日を確認
派遣社員では、3か月・6か月などの有期雇用契約を更新しているケースがあります。有期契約途中の退職は無期雇用と同じ扱いで一律に判断できないため、契約期間を必ず確認します。
雇用契約書が見つからない場合は、派遣会社のマイページ、契約更新メール、就業条件明示書などを探してください。現在の契約開始日・終了日が分かる画面があれば、スクリーンショットを準備すると確認が進みやすくなります。
貸与品は「派遣元」と「派遣先」に分ける
派遣社員では、貸与品の所有者が分かれていることがあります。例えば、社員証は派遣元、入館証・制服・ロッカーキーは派遣先というケースです。
依頼前に次のように一覧化するとスムーズです。
- 派遣元から借りているもの:社員証、派遣会社の端末、資料等
- 派遣先から借りているもの:入館証、制服、セキュリティカード、鍵等
- 自分の私物:ロッカー内の靴、文房具、衣類等
返却先が異なる場合は、それぞれの住所・担当部署を確認します。本人が派遣先へ取りに行くことを望まない場合、私物の郵送や貸与品の郵送返却が可能かを確認します。
派遣社員の有給休暇はどこへ確認する?
年次有給休暇を付与する使用者は雇用主である派遣元です。そのため有給残日数や取得希望については派遣元へ確認します。派遣先の現場責任者だけに「有給を使います」と伝えて手続きを完了するものではありません。
退職日までに残存有給を取得したい場合は、派遣元の残日数と本人の希望日を確認します。会社との調整が必要になる場合は、所定の手続き後に提携労働組合が対応します。
退職後の書類も基本的には派遣元から
給与を支払っている雇用主が派遣元なので、源泉徴収票・離職票等の退職関連書類も基本的には派遣元の手続きになります。必要に応じて次を確認してください。
- 源泉徴収票
- 離職票1・2
- 雇用保険被保険者証
- 健康保険資格喪失に関する証明
- 退職証明書
派遣先に「離職票を送ってください」と依頼しても、派遣先は雇用主ではないため対応できないことがあります。どの会社が発行主体なのかを間違えないことが重要です。
派遣社員の退職代行でよくある質問
派遣先にだけ連絡すればいいですか?
基本的には雇用主である派遣元への連絡が中心です。派遣先への就業終了連絡をどうするかは派遣元と確認します。
担当営業から本人に電話が来たら出る必要がありますか?
申込み後の事前案内に従ってください。退職交渉の窓口は整理できますが、本人確認や書類手続きなど本人対応が必要な事項が出ることがあります。
派遣先の社員証と制服が手元にあります
誰の所有物かを確認し、返却先を派遣元または派遣先へ確認します。郵送できるかも併せて確認します。
派遣社員の退職連絡を順番で考える
一般的には、まず雇用主である派遣元へ本人の退職意思を伝え、派遣元から派遣先への就業終了連絡をどうするか確認します。派遣先へ本人から直接退職交渉することを前提にしない点が重要です。
例えば「明日から派遣先へ行かない」という場合でも、派遣元の担当営業が派遣先へ何時に連絡するのか、貸与品をどこへ返すのか、派遣先のロッカーに私物がある場合どう返してもらうのかなど、二社の間を整理する必要があります。
派遣先から直接連絡が来るケース
派遣元へ連絡した後、派遣先の現場責任者から本人へ「今日どうしたのか」「いつまで来られるのか」と連絡が入る場合があります。申込み後は、誰からどの内容の連絡が来たかを記録しておきましょう。派遣元へ伝わっていない事項がある場合、担当者間で確認が必要です。
派遣社員は「どこから借りた物か」を特に確認
社員証・保険関係書類は派遣元、入館証・制服・セキュリティカードは派遣先というように、返却先が分かれることがあります。同じ段ボールに全部入れて送るのではなく、会社から返却先の指示を受けてください。
また、派遣先のPCやデータは派遣先の資産です。退職準備のためにデータを私物端末へ移すことは避け、必要な返却・ログアウト手順を確認します。
契約更新直後・契約満了直前では確認内容が変わる
有期契約の場合、更新したばかりなのか、数日後に契約満了なのかで会社との話し合いの前提が変わります。「今の契約はいつまでか」「次回更新に同意済みか」を担当者へ正確に伝えてください。契約書が見つからなければ、派遣会社のマイページや更新確認メールを探すと分かることがあります。
派遣元の担当者が退職を引き止める場合
派遣会社の担当者から「次の更新までは続けてほしい」「派遣先に迷惑がかかる」「別の派遣先を紹介するので退職しないでほしい」と言われることがあります。本人が退職意思を固めている場合は、その意思を改めて明確にし、退職日や有給休暇など具体的な条件の確認へ進みます。
別の派遣先への変更提案を受けるかどうかは本人の判断です。退職そのものを希望しているのに、紹介先変更の話だけが続く場合は、「派遣先変更ではなく、派遣元との雇用契約を終了したい」という点を明確にします。
参考にした公的情報
制度や手続きは勤務先・雇用形態・個別事情で変わるため、以下の公的情報も確認してください。